論理回路と論理式の基礎
🎯 学習目標
この単元では、コンピュータがどのように判断や計算を行うのかを、論理回路と論理式を通して学習します。
📚 このレッスンで学ぶこと
- ✓ 論理演算の基本概念(AND, OR, NOT)
- ✓ 論理ゲートの記号と動作
- ✓ 真理値表の読み方と作り方
- ✓ 論理式の書き方と読み方
- ✓ 身近な例での論理思考
- ✓ 論理回路の実用例
⏱️ 推定学習時間
約20分
論理演算とは何か?
🤔 日常の論理思考
「雨が降っている」かつ「傘を持っていない」なら「濡れる」
🧠 人間の判断
「AかつB」「AまたはB」「Aでない」のような論理的な判断を日常的に行っています
• 宿題が終わってかつ時間があるなら遊ぶ
• 電車またはバスで学校に行く
• 雨が降っていないなら洗濯する
💻 コンピュータの判断
コンピュータも同じような論理的判断を、0と1を使って行います
• パスワードが正しいかつ権限があるならログイン
• 在庫があるまたは予約可能なら注文受付
• エラーがないなら処理続行
💡 論理演算の特徴
論理演算は、複雑な条件をシンプルな規則の組み合わせで表現できます。これがコンピュータの基本的な思考プロセスです。
基本的な論理ゲート
論理ゲートは、論理演算を電子回路で実現するための基本部品です。
🔒 ANDゲート(論理積)
動作:AとBが両方とも1のときだけ、出力Yが1になる
A | B | Y
0 | 0 | 0
0 | 1 | 0
1 | 0 | 0
1 | 1 | 1
🚪 ORゲート(論理和)
動作:AまたはBのどちらか一つでも1なら、出力Yが1になる
A | B | Y
0 | 0 | 0
0 | 1 | 1
1 | 0 | 1
1 | 1 | 1
🔄 NOTゲート(否定)
動作:入力Aを反転する。1なら0に、0なら1になる
A | Y
0 | 1
1 | 0
真理値表を理解しよう
真理値表は、論理ゲートの動作を表で表したものです。すべての入力パターンに対する出力を確認できます。
📊 真理値表の読み方
ANDゲートの場合
A | B | A・B |
---|---|---|
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 0 |
1 | 0 | 0 |
1 | 1 | 1 |
両方が1のときだけ出力が1
ORゲートの場合
A | B | A+B |
---|---|---|
0 | 0 | 0 |
0 | 1 | 1 |
1 | 0 | 1 |
1 | 1 | 1 |
どちらかが1なら出力が1
💡 身近な例で考えてみよう
正しい鍵 かつ 正しい向き
→ 両方揃って初めて開く
煙を検知 または 熱を検知
→ どちらか一つでも警報
ON状態でない → OFF
OFF状態でない → ON
論理式の書き方
論理回路の動作を数式のように表現するのが論理式です。記号を覚えて読み書きできるようになりましょう。
📝 論理演算の記号
💡 論理式の例
🏠 家のセキュリティシステム
A:ドアセンサー
B:窓センサー
C:人感センサー
Y:警報装置
「(ドアが開いて かつ 窓が開いている) または 人を感知」したら警報
🚗 自動車の始動条件
A:キーが挿入されている
B:ハンドブレーキ
C:シートベルト
Y:エンジン始動可能
「キーがあって かつ ハンドブレーキが 解除されていて かつ シートベルトをしている」ときエンジン始動可能
📚 論理式を読むコツ
- かっこ()を最初に計算
- ・(AND)を次に計算
- +(OR)を最後に計算
- ‾(NOT)は該当する文字の上に付ける
論理式の便利な法則
論理式には数学と同じように、計算を簡単にするための便利な法則があります。
🔄 基本的な法則
可換則(順序を変えても同じ)
A+B = B+A
例:「宿題をしてかつ時間がある」=「時間があってかつ宿題をした」
結合則(グループ分けを変えても同じ)
A+(B+C) = (A+B)+C
例:(朝食を食べてかつ歯を磨いて)かつ学校に行く
✂️ 簡単化の法則
吸収則(余計な条件を消去)
A+(A・B) = A
例:「晴れでかつ(晴れまたは暖かい)」= 単に「晴れ」
自分自身との演算
A+A = A
例:「晴れかつ晴れ」= 単に「晴れ」
📐 分配則
A+(B・C) = (A+B)・(A+C)
例:「学校があってかつ(晴れまたは暖かい)」
= 「(学校があってかつ晴れ)または(学校があってかつ暖かい)」
🔀 ド・モルガンの定理
第1の法則:(A∪B)̅ = A̅∩B̅
例:「(晴れまたは暖かい)でない」
= 「晴れでないかつ暖かくない」
第2の法則:(A∩B)̅ = A̅∪B̅
例:「(晴れかつ暖かい)でない」
= 「晴れでないまたは暖かくない」
💡 実用例:論理式の簡単化
🏠 スマートホームの照明制御
「人感センサーが反応して、かつ(夜間または曇り)」の時に照明がつく
🎯 法則を覚えるコツ
- 可換則・結合則:算数の足し算・掛け算と同じ
- 吸収則:「当たり前のことは省略できる」
- 分配則:算数の分配法則と似ている
- ド・モルガン:「全部の否定」は「それぞれの否定」になる
論理ゲート演習
実際に論理ゲートの動作を試してみましょう!入力を変更して出力の変化を確認できます。
🎮 論理ゲート シミュレータ
🔒 ANDゲート
🚪 ORゲート
🔄 NOTゲート
🎯 試してみよう!
- ANDゲートで出力が1になるのはいつ?
- ORゲートで出力が0になるのはいつ?
- NOTゲートの入力と出力の関係は?
論理回路の実用例
論理回路は身の回りの様々な電子機器で活用されています。具体例を見てみましょう。
🥤 自動販売機
条件:
• 投入金額が商品価格以上
• 商品ボタンが押された
• 選択した商品の在庫がある
3つすべてが満たされたとき商品が出てくる
🛗 エレベーター
条件:
• 目的の階に到着している
• エレベーターが完全に停止
• ドア閉じボタンが押されていない
安全のため複数条件をチェック
🧺 洗濯機
条件:
• ドアがしっかり閉まっている
• 適正な水量が確保されている
• スタートボタンが押された
事故防止のための安全装置
📱 スマートフォン
条件:
• 指紋認証が成功
• または 顔認証が成功
• または 正しいパスワード入力
複数の認証方法から選択可能
🚀 最新技術での活用
ニューラルネットワークの基本単位として論理演算が使われている
データの暗号化・復号化で複雑な論理演算を組み合わせて使用
キャラクターの行動判定やゲームルールの実装
工場の自動化やスマートホームでのセンサー制御
まとめ
🎉 お疲れ様でした!
論理回路と論理式の基礎を学習しました
学んだこと
- 論理演算の基本概念
- AND, OR, NOTゲート
- 真理値表の読み方
- 論理式の書き方
重要なポイント
- 論理演算は日常の判断と同じ
- 0と1で複雑な条件を表現
- 身の回りの機器で活用
- コンピュータの基本思考
次のステップ
- より複雑な論理回路
- 組み合わせ回路の設計
- フリップフロップ回路
- プログラミングでの活用